切妻屋根の痕跡のための類型学 III / LIVE  Typology for Traces of Gable Roofs

2020.9.23 wed- 10.4 sun

LUMEN ;gallery

Lumen_DM_2020

この町のそこここで建物の壁面に解体された隣家の痕跡が残っている光景に出くわす。
陽の光のなかで移ろう陰影は、かってそこにあった人の営みを呟きかけてくる。
壁面の前にデジタルカメラを設置し、撮影映像をネットをとおしてライブ配信する。
ギャラリー内で受信した映像をビデオプロジェクタにより、印画紙に露光する。
タイムラグとノイズを伴った映像が一枚の印画紙に焼きつけられていく。
定着処理をおこなわないので、環境光に包まれ、そのイメージもまた消え去ってゆくだろう。
2018年に静止画、2019年には動画を投影した。今回はこれらの発展形としてライブ映像を投影する。
KYOTO GRAPHIE 京都国際写真展 2020 サテライトイベント KG+2020の一つとして発表した。

痕跡が刻まれた壁面を動画撮影しライブ配信する



 

09:00:00:00 11:02:07:16 11:16:59:20 11:24:24:17
11:55:54:21 12:41:01:17 14:21:52:27 15:14:25:07

ギャラリーで受信、プロジェクタで印画紙に投影する

 

プロジェクタの映像が印画紙に焼きつけられていく

印画紙に露光している様子 焼き付けられた映像

システム構成

マン・レイと余白で

2020-10-02


KG+34 三宅章介

 

備忘録 2020.9.30

ルーメンギャラリー(2F) 9/23〜10/4

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 三宅章介さんの『切妻屋根の痕跡のための類型学 III / LIVE』を拝見した。これまでの連作を赤瀬川原平「超芸術トマソン」系の「影タイプ」採取と照らし合わせていたが、今回の展示で驚きや発見ではなく、氏がこれまで追いかけてこられた「消え去るイメージ」に繋がるものと理解した。街路に置いたデジタルカメラから送られた映像(9/23、9/27、10/3)を壁面に投影し、特大の印画紙に焼き付けながら、定着処理をしないことで、この「イメージもまた消え去ってゆく」。大掛かりな仕組みでありながら、心理的負担を観る側に求めない、作者の楽しみ方が心地よい。画廊の外では過ごしやすい風が吹いております。



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三宅さんは赤々舎から写真集を刊行された。→
18.2×25.7cm MIYAKE Akiyoshi写真集『Typology for Traces of Gable Roofs』収録図120点。
2020.9.23 赤々舎発行 定価本体3000円+税

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 本書には写真家・甲斐扶佐義氏がテキストを寄せられているが、子供や美人やおばさんや、おじさん、ネコやイヌや、などの膨大なスナップ写真をものにされてこられた甲斐さんと、繋がる収集の後の「類型学」、なるほど撮影の場所と日時を記載するやり方は、やがて記録としての「価値」が立ち現れるのを願う心情を含むのだろうかと思う。---としても、写真集の表紙に用いた写真の「場所と日時」はどうなっているのだろう?  監視カメラが取り付けられているようなので小生も見られているのかしら、そして、定着されることなく、消え去る。展覧会の会場と同じような仕掛けが、写真集でも用意されているのだろうな、健康散歩も気をつけなくちゃ。

(石原 輝男氏のブログ 「マン・レイと余白で」より)

ナミキ キヨタカ【 Gallery View vol. 2532 】

「切妻屋根の痕跡のための類型学 III 〜 LIVE| 三宅章介 展 」

2020.09.23~10.04【 Lumen gallery 】



ガレージの車に仕掛けた
デジタルカメラで
撮る
さて
何を?
空き地になった空間に晒される
家の側面
ガレージに止めた車に設置された
カメラでの映像を
WIFiにてYouTubeへ
さらにWIFiを介して
ギャラリーへ同時配信する
受信された映像は
ビデオプロジェクターで
壁の印画紙に投影され
少しずつその姿が
露わに
やがては
消え去る「それ」
僕が「疎を挟む」と呼ぶ
「家面」と
ほぼ趣向を同じくされる三宅さんを
勝手に同好の士と解釈している
但し
クオリティが断然違うので
ちょっと
妬んだりもする(笑)
もう3回目になる類型学
ついに
その対象は
会場を飛び出した
かつては生活の場として
息づいていたものが
文字通りの「空間」となる理由は
悲喜こもごも
そこに感じられるものは
その実
この上なく
果てしなく魅力的だ

ギャラリーサイト
http://www.lumen-gallery.com